「スペパ」時代に炊飯器はゴミなのか、投資対象なのか
1.2025年、日本の若者の家から炊飯器が消えた(玉川調べ)── 放送事故級の断定が突きつける矛盾
2025年11月17日放送のテレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」で、玉川徹氏がさらりと、しかし断定的にこう言い放った
「若い人、炊飯器なんか持ってない」
……え、今なんて?
日本中の家電メーカーと量販店がひっくり返るような発言である。
まずは、この「玉川予言」をあえて事実だと仮定して、現実の世界線と照らし合わせてみよう。
2.新生活セットは「ゴミ」の詰め合わせか ── 量販店の戦略への宣戦布告
もし玉川徹の言うように、若者が炊飯器を持っていないのだとしたら、毎年春に家電量販店が展開している「新生活応援キャンペーン」は一体誰に向けた、『シュールストレミング』より性質(たち)の悪い『コンクリート詰めのドラム缶』なのだろうか。
実際のところ、2025年も各社は必死に「炊飯器」を売り込んでいる。
ヤマダデンキ: 「新生活スタートパック 4点セット」にしっかり炊飯器を投入。
ビックカメラ/コジマ: 「一人暮らしスタートセット」として、炊飯器をプラスすることを推奨。
アイリスオーヤマ: 「自炊派向け4点スぺパセット」として戦略的に販売。
「スペパ」とは「スペースパフォーマンス(Space Performance)」の略だって。
意味:限られた空間をどれだけ効率的・効果的に活用できるか、またはその空間で得られる価値や満足度を示す言葉で、コスパ(コストパフォーマンス)やタイパ(タイムパフォーマンス)に続く概念らしい。
タイパにさえ抵抗あるのに、スペパとは……。
流行に乗り遅れてるどころか、振り落とされてるのか?
それは、ともかく、
現代版・三種の神器(冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ)に、プラス5,000円~10,000円程度で「炊飯器」を加えるのが、令和の家電量販店の王道スタイルなのだ。
量販店からすれば、玉川氏の発言は「君たちの売ってるセット、1点いらないゴミを入を入れてますよ」と言われているに等しい。
3.スポンサーへの宣戦布告。── 公共の電波で放たれた「玉川砲」の威力
「若い人は持ってない」という玉川氏の直感に対し、データ(AI回答)をぶつけてみると興味深い事実が見えてくる。
確かに国内出荷台数は長期的に微減し、2024年度は約450万台となった。しかし、2025年4~6月期には前年比3.3%増と回復傾向にある。
若者の意識変化によって、効率を重視する「タイパ(冷凍ごはんの活用)」、一台で副菜も作る「マルチ調理」、そしてインテリアに馴染む「デザイン性」を求める層が拡大。
若者にとって炊飯器が「単なる家電」から「生活の質(QOL)を上げる投資対象」へと変化したことが、市場を押し上げる大きな要因となっている。
つまり、世の中の若者は「持ってない」のではなく「より良い飯を食うためにこだわっている」か「タイパ重視でパックご飯と併用している」のが現実ではないか。
タイパ嫌いだといってて、流行にしがみつこうとする、節操の無さ。いやらしさ。
ここで気になるのは、テレビ局の大人の事情だ。上記に挙げた量販店は、テレビ局にとって大切なクライアント(スポンサー)のはず。
その大事なお客様が売ろうとしている商品を、公共の電波で「(若い人は)持ってない」と一蹴する勇気。
これぞ玉川流、スポンサーキラーの真骨頂である。
4.「炊飯器不要論」への招待状
結局のところ、玉川徹自身が「自分は炊飯器を持っていない」からといって、それを世間一般、ましてや今の若者全体にまで広げてしまうのは、ありなのなしなのか。
「若い人、炊飯器なんか持ってない」
もしそうなら、若者たちはリサイクルショップに親の愛と一緒に炊飯器を叩き売り、米は土器で炊いているとでも言うのだろうか。
全国の家電担当者の皆さん、怒っていいと思います。
玉川さん、今度ヤマダデンキの新生活コーナーに一緒に行きません?
そこで店員さんに「若い人、これ持ってないですよ」って直接アドバイスしてあげてください。
笑顔のままで、瞳の中の青白い憎悪の炎を、拝見できるかと思いますよ。

L『納得感の解剖学|説得の技術者たち』
『知の深淵へ|童話・寓話の解剖学』
