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100%成功する少子化対策

「完璧な処方箋」がもたらす、豊かさという名の限界。 時事・社会
「完璧な処方箋」がもたらす、豊かさという名の限界。
時事・社会
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なぜ誰も「究極の処方箋」を口にしないのか

「100%成功する少子化対策は、存在する。ただし、それは地獄のような処方箋だ。」
予算3兆円も、異次元の対策も無力。出生数を垂直に立ち上がらせる唯一の方法は、ある国がかつて行った政策の「逆」をやるだけ。なぜ誰もそれを口にしないのか?その答えは、最後の「……」にある。

第一章:少子化対策という、出口のない迷路

「少子化は国難である」――。政治家は演説で、マスコミは社説で、コメンテーターはワイドショーで、判で押したように「子供は国の宝」と繰り返す。

しかし、現実を見てみると


「動かない物流」

トラックドライバーが消え、地方のみならず都市部でさえバスの減便が相次ぎ、タクシーを呼ぶことも難しい。

「維持できないインフラ」

今の日本には、耐用年数を超えた公共施設が溢れている。その更新費用という名の「負債」を、これから減り続ける若者たちの肩に、積み上げている。

肩車型社会で一人が一人を支えてたものが、一人が大勢を支える逆ピラミッド社会への社会保険料の問題

「自分たちがもらえる時には、制度は破綻しているのではないか」――若者たちの抱くこの不信感。

将来世代にツケを回し、彼らの未来を食いつぶしながら生きる現世。

では、少子化対策への「提言」とやらは、誰がどう語っているのだろうか。

第二章:あふれかえる処方箋――なぜ「完璧な対策」は1ミリも機能しないのか

現在、少子化という迷路の出口として、以下の施策や提言が公に示されている。

「異次元」の予算投入
政府は年間3兆円超の予算を確保。児童手当の所得制限撤廃、出産費用の保険適用、高等教育の無償化など、直接的な現金給付と負担軽減を矢継ぎ早に打ち出している。

社会構造の変革
「男性の育休義務化」「働き方改革」の推進。政界や有識者からは、家事・育児の分担や女性活躍こそが本質的な解決策であるという提言が繰り返されている。

経済的基盤の底上げ
経済界は「持続的な賃上げ」「非正規雇用の待遇改善」を優先課題として提示。若者の経済的不安を払拭することが、婚姻率の向上に直結するという論理が主流となっている。

北欧モデルの導入
多くの文化人や学者が、高負担・高福祉の成功事例を引用。「社会全体で子供を育てる」という意識変革が必要であると、メディアを通じて説き続けている。

これだけ隙のない、完璧な処方箋が揃っているのだ。もう、何も悩むことはないはず。

だった。

第三章:そして、何も変わらなかった

施策が積み上げられ、予算が費やされた後に残ったものは、更新され続ける「過去最低」

年間の出生数はついに70万人を割り込み、60万人台へと突入した。政府の予測を10年以上前倒しするスピードだ。

年間100万人以上が生まれていた時代は遠い昔となり、どのような「異次元の対策」も、この右肩下がりのグラフを1ミリも押し戻せていない。

削られる手取り、増える国民負担率

賃上げのニュースが流れる一方で、国民負担率(所得に対する税金と社会保険料の割合)は40%台後半に張り付いている。

実質賃金はマイナスとプラスの境界線を彷徨い、若者の可処分所得は実質的に目減りし続けている。

子供を産むことは、今や年収上位層だけに許された「経済的な贅沢品(ラグジュアリー)」となった。

なにより「独身」という最大勢力。子育て支援の拡充とは裏腹に、年間婚姻数は50万組を割り込む水準で推移している。

そもそも「結婚」という入り口に辿り着けない、あるいは選ばない層がマジョリティとなった。

未婚化という根本的な問題に対し、児童手当の増額はあまりに無力だ。

現場の軋みも深刻だ。育休取得率が上がる一方で、現場を支える人員の負担増は限界に達している。1人が休めば、残りのメンバーがその穴を埋める。

理想を掲げるほどに職場の空気は重くなり、現役世代の心は「子供を持つことへの忌避感」へと傾いていく。

だからといって移民政策というのも短絡的すぎる。

第四章:海外での移民政策の帰結

欧州(EU)の事例において、「移民政策によって少子化(低出生率)が根本的に解消された」という明確な成功例を見出すのは困難である。

むしろ、多くの国が直面しているのは、一時的な出生率の維持と、それを上回る「社会的な軋み(あつれき)」という現実。

欧州で移民を受け入れた国(ドイツ、フランス、スウェーデンなど)でも、移民第二世代、第三世代となるにつれ、その出生率は現地の低出生率に同化(低下)していく傾向がある。

これは、「外部からの人口流入」が一時的な人口増加には寄与するものの、少子化という社会構造的な課題を根本的に解決するものではないことを示している。

結局、これまでの対策はすべて「個人の自由」を前提にしたお願いに過ぎなかった。

しかし、歴史を見れば、人口を完璧にコントロールした例が存在する。

第五章:完全無欠の対策――歴史が証明する、唯一の手段

それは、かつて隣国が行った、「一人っ子政策」。

中国が1979年から数十年間にわたり実施した、夫婦一組につき子供を一人までとする産児制限政策。

人口増加の抑制が目的で、規律で帳尻を合わせただけの政策。

単に、それの「逆」をやるだけだけで解決できる。

1避妊具・避妊薬の販売を法律で全面禁止。
2堕胎の禁止。
3違反者(製造・販売・所持含む)は、いづれも実刑。
4刑務所の房は、男女平等に即し、年齢の近い男と女の2人部屋とする。

これこそが、いかなる予算投入よりも確実に、100%の確率で出生数を反転させる『完全無欠』の対策

ただ『禁止』し、『閉じ込める』だけ。これほど効率的で、かつ確実に出生数を反転させる対策があるだろうか。

第七章:残るのは絶望的な子どもたちの未来

完璧な形として、この少子化対策は成功する。そして、爆発的な人口増加が起こるに違いない。

グラフは垂直に立ち上がり、街には「数」としての子供たちが溢れ、「数」への帳尻は、すべて合わせられる。


しかし

その先に、広がる子どもたちの未来は

・・・・・はぁ…。



『カオスの深層|世相・社会の解剖学』
世相・社会の深層を解剖し、抽出された事実を提示する記録集。テレビ報道や時事問題の裏側にある経済合理主義、納得感を醸成する説得技術など、日常に埋もれた構造を客観的な視点で深掘りします。独自の解剖学的アプローチによる、社会構造の記述。
 L『玉川徹・経済合理主義|その解剖学』
 L『納得感の解剖学|説得の技術者たち』


『知の深淵へ|童話・寓話の解剖学』