なぜ、これほど異なる神々が同じ船に乗れるのか
七福神は、単なる「福を運ぶ神様」の集まりではありません。
インド、中国、そして日本。
出自も、宗教も、役割も全く異なる神々が、なぜ武器も持たず、一つの船に同居できるのか。
そこには、歴史学者・樋口清之氏が説いた「曖昧さという調和の技術」と、異質なものを自らの血肉に変える「鯨飲文化」の知恵が隠されています。
本シリーズでは、この「宝船」という舞台装置を解剖し、現代の私たちが「怒鳴らず、叫ばず、静かに生きる」ためのヒントを、七柱の神々の姿から紐解いていきます。
【全八話:航海日誌】
第0話:宝船──争わない文明の出港
なぜ宝船には武器がないのか。「知の深化」を選んだ日本文明の設計図を読み解き、航海の幕を開けます。
第1話:恵比寿──唯一の日本神が“船の舵”を握る理由
労働と生活の尊厳。自らの手で「福」を育てる、地に足のついた生き方の出発点。
第2話:大黒天──豊穣と分配の神
破壊神がなぜ笑顔の福神へ変わったのか。「力」を「恵み」へと変換する、日本文化の圧倒的な変換力。
第3話:毘沙門天──武の抑制と“守る力”の神
力を持ちながら、振るわない強さ。争いを避けるために「武」を知恵で封じ込める技術。
第4話:弁財天──女性性・芸能・言語・内面の豊かさを司る神
言葉と音楽で場を潤す「精神的な接着剤」。水のようにしなやかな女性性が、世界を調和させる。
第5話:布袋──寛容と笑いの神
言葉が通じないからこそ、笑い合う。正論よりも「笑い」で場を埋める、最強の寛容。
第6話:福禄寿──知恵と秩序の三徳神
世界を正しく測り、記録を積み重ねる。誰も傷つけない「知の武器」が、争わない秩序を支える。
第7話:寿老人──命と老い、時間の受容を象徴する神
「終わり」を否定しない強さ。老いゆく自分さえもまるごと肯定する、人生の最終技術。
最終章:宝船──幸福のループ
港への帰還、そして次なる出港へ。幸福は直線ではなく円環となり、物語は再び始まります。
【結び】静かに、深く、めぐる幸福のかたち
このシリーズを通して描きたかったのは、力でねじ伏せることのない「知の文明」の姿です。
宝船は、今も私たちの心の中に浮いています。
怒鳴らず、叫ばず、調和の中で生きること。
その静かな航海を、ご一緒に。
七福神の解剖学──争わない文明と「幸福のループ」
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▼【平安の闇】――『その正義は誰が作ったのか?』


