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最終章:宝船──幸福のループ

勝川春朗(葛飾北斎)「七福神」(部分) 天明末〜寛政前期(1787-93年頃)制作 / 東京国立博物館所蔵 童話・寓話
童話・寓話
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1. 宝船、港に戻る

七柱の神々がそれぞれの役割を果たし、旅は静かに終わる。
恵比寿が汗を流し、大黒天が分け合い、毘沙門天が守り、弁財天が奏で、布袋が笑い、福禄寿が積み上げ、寿老人が命を見守った。
出自も宗教も違う彼らが、一度も争うことなく同じ船に乗り続け、いま、静かに港へと戻ってくる。

2. 帰還は、完成であり始まり

宝船が港に戻る。それは単なる帰還ではない。
かつて人々が宝船の絵を枕の下に敷いて眠ったのは、良い夢を“見る”ためではなく、良い世界を“願う”ための儀式だった。

働くことが誇りであり、分け合うことが喜びであり、老いさえも祝福となる。この七つの“福”がめぐり、一つの円環を閉じたとき、人は深く静かな幸福を感じる。

3. 幸福のループ──終わりなき航海

だが、物語はここで終わらない。
宝船は、港にとどまるための船ではないからだ。

幸福は直線ではなく、円環だ。終わりは常に始まりを孕んでいる。
夜が明ければ、船は再び、新たな夢と知恵を乗せて出港する。

4. 永遠の円環へ

怒鳴らず、叫ばず、争わず。
樋口清之氏が説いた「調和の知」を乗せて、幸福は夜ごとに新しくなる。
「たかし」の物語もまた、この静かなめぐりの中に在る。

宝船は、再び水平線の彼方へ。
そして、物語は――
また、あの「第0話」の出港の景色へと還っていく。